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Vol.4 最愛の伴侶に捧げたブレンデッド
世界で流通しているウイスキーのおよそ8割が、モルトウイスキーに連続式蒸留器でつくるグレーンウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーです。個性豊かなモルト原酒を組み合わせることで生まれる複雑な味わいを、グレーンウイスキーに由来するほのかな風味やキレのある味わいがまとめ上げ、複雑さや華やかさを持ちながらも、飲みやすさも兼ね備えている。それが、世界中でブレンデッドウイスキーが親しまれている理由ではないでしょうか。
弊社が販売している「スーパーニッカ」も、そんなブレンデッドウイスキーの一つです。
余市蒸溜所の重厚で力強いモルト原酒、宮城峡蒸溜所の柔らかで華やかなモルト原酒、原料由来の香りや成分がしっかりと残るカフェ式連続式蒸溜機でつくるグレーン原酒。それら個性のことなる原酒を組み合わせた、ニッカウヰスキーを代表するブレンデッドウイスキーの一つです。様々な特徴が重なり合った芳醇な香りや、スムースでまろやかな口当たりを、非常に飲みやすい味わいとともにお楽しみいただけると思います。
この「スーパーニッカ」にはある逸話がございます。
「スーパーニッカ」が発売されたのは1962年のことですが、その前年、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝の妻、リタ夫人がこの世を去りました。理想のウイスキーを目指して苦楽を共にしてきた伴侶を失った悲しさは、やはり大変なものだったのでしょう。竹鶴政孝は丸二日間自室に閉じこもり、お葬式や火葬場にも行かず、憔悴しきっていたそうです。
そんなあまりに大きな悲しみを乗り越えるために、竹鶴政孝は、最愛の人、リタ夫人とともに歩んできたウイスキー造りに没頭しました。こうして完成したのが、「スーパーニッカ」です。
何年もの熟成を経てから世に出るウイスキーを嫁入りする娘に例え、立派な衣装を着せてやりたいと、発売当初はガラス職人が一つ一つ手吹きでつくった特製のボトルに詰めて発売していたことからも、「スーパーニッカ」に込めた思いの深さや強さ、そしてリタ夫人と歩んだ人生で最高のウイスキーだという自負がうかがえます。
当時のボトルデザインは現在の「スーパーニッカ」に受け継がれていますが、このボトルデザイン、実は涙の形を表しているとも言われています。最愛の人を亡くした涙のボトルに、最高のウイスキーを詰めることで、愛情や感謝といった、リタ夫人への思いの丈を表現したのではないでしょうか。
味わいは時代にあわせて少しずつ変わって来ていますが、その根底にあるのは、「リタ夫人にささげるウイスキー」という思いから生まれた、竹鶴政孝が目指した伝統的なスコッチの力強さと、女性でも気負うことなく楽しめる飲みやすさを併せ持った味わいです。
そして、そんな逸話があったと心の片隅にでもおいていただければ、「スーパーニッカ」をよりお楽しみいただく一助になるのでは。そう思いご紹介させていただきました。ぜひ一度お試しください。
スーパーニッカ
容量700㎖/アルコール度数40%/オープン価格
「醸-かもす-」2015年10月号掲載